『タンゴ』

2013/11/28

【監督】　パトリス・ルコント
【出演】　フィリップ・ノワレ,リシャール・ボーランジェ,ティエリー・レルミット
【公開】　1992年　仏　86分
【ジャンル】　人間ドラマ

失わないと見えないもの気付かない事

あらすじ

セスナ機乗りのヴァンサンは、いつも青空に妻へのメッセージ「愛しているよ」と飛行機雲で描いていた。それを見て今日も夫は空を飛んでいると確認している妻。しかし妻はその間に浮気をしていた。いつものように空に描かれている文字とその間に浮気をする妻。しかし彼女は気付く、「いつもの字じゃない」。こうして妻の浮気を知っていた夫ヴァンサンは、浮気相手と妻を殺してしまう。だが裁判では不思議にも無罪を言い渡されたヴァンサン。

ポールは浮気がバレて、愛妻のマリーに愛想をつかされて家出されてしまった。それを叔父のエレガンに相談に来る。エレガンは女好きだが生涯を独身で通している。彼はヴァンサンの裁判で証拠物件を隠して彼を無罪へと導いた裁判官だった。いっそう妻が死んでくれたらと考えるポールに、エレガンはヴァンサンにマリーを殺させようと思い立つ。弱みを握っているヴァンサンが断るはずがなかった。こうして奇妙な三人組の殺人計画の旅が始まる。しかしこの計画にはどんでん返しが用意されていた。

レビュー

最も情けない男達のロードムービー。情けない男を描かせたら世界一の監督が送る、惨めな愛の物語。いやハッピーエンドではあるけどね。男って弱い生き物だなあと痛感させられる作品だ。結局男は女なしでは生きていけない。タンゴもそう。一組のカップルで踊るもの。女なしでは踊れない。
人間は失って初めて気付く、愚かな生き物である。大事なものは失ってみるまで、そのものの大事さを認識できない。特に空気みたいに感じてしまっている存在に対して。だからこそ何かにつけて感謝の日とかって、指定されてて、みんなが忘れないように祝日になってたりするんだろうね。どうしても忘れてしまいがちな普段の感謝の気持ちや、自分の認識を再確認するために必要なんだろうね。そんなことを教えてくれる映画。