【監督】 ウォン・カーウァイ
【出演】 レスリー・チャン,トニー・レオン,チャン・チェン
【公開】 1997年 香港 96分
【受賞】 第50回カンヌ国際映画祭 監督賞、第17回香港電影金像奨 主演男優賞
【ジャンル】 恋愛映画
ウォン・カーウァイ監督の最高傑作。熱く激しいストレートな愛がここにある。
あらすじ
香港の真裏に位置するアルゼンチン。そこへ関係修復のために旅立った一組のゲイカップル、ウィンとファイ。「やり直す」ための旅行だったにもかかわらず、「イグアスの滝」へ向かう途中、2人は喧嘩をして別れしてしまう。ひとりになったファイは旅費の不足を補うためブエノスアイレスのタンゴバーで、ドアマンとして働く事になる。ある日、喧嘩別れしたウィンが白人男性を連れて店に現われる。その後、ウィンは何度もファイに復縁を迫り、ファイは毎回断っていたが、ある日嫉妬した愛人に怪我を負わされたウィンがアパートに転がり込んできた事で、やむなく介護し、なし崩し的に同棲生活を送る。しかし怪我が治ったウィンはファイの留守に出歩くようになり、ファイは独占欲からウィンのパスポートを隠すようになるが、ついにまた姿をくらます。ファイは稼ぎのいい食肉工場に転職し、旅費が貯まりイグアスの滝へと旅立っていく。 ゲイカップルの欲望と嫉妬を描いているが、それと同時に地球の裏側でたくましく生きる若者の生き様も描いている。
レビュー
ウォン・カーウァイの最高傑作だと思う。「恋する惑星」は、最高に衝撃を受けた作品だったが、完成度では、このブエノスアイレスだ。ゲイカップルの話なので、見るまでは抵抗があったが、見始めると男同士の恋愛とか関係なく、若者の生き様みたいな感じで普通に見れた。というよりも普通の恋愛と一緒で欲もあるし嫉妬もあって、それらがゲイとか関係なくダイレクトに表現されていて、とても好感を持てた。 とにかく主演の2人の演技が素晴らしすぎて、ぐいぐい引きこまれた。この後、レスリーチャンは自殺をしているが、彼は間違いなく香港のトップ俳優だったと思う。「覇王別記」でも素晴らしい演技をしていたが、彼の一番はこの作品で見ることができると思う。そしてトニーレオン。恋する惑星ではあまり感情を出す役ではなかったが、この作品では感情を爆発させるシーンがいくつもあり、それがまたすごいリアルに伝わってくる。 この作品には脚本がなかったそうで、監督が撮影前に、メモ書きを渡して芝居をさせたと言う。いったいどんな演出をしたら、あんな演技になるのか不思議でしょうがない。 とにかく胸が熱くなる最高の作品だった。



