『東京物語』

【監督】 小津安二郎
【出演】 笠智衆,東山千栄子,原節子,杉村春子,山村聡,三宅邦子,香川京子
【公開】 1953年 日 136分
【受賞】 BBC「21世紀に残したい映画100本」
【ジャンル】 人間ドラマ

予告編

あらすじ

尾道に暮らす周吉と妻のとみが、20年ぶりに東京に旅行にやってきた。東京に暮らす子供たちの家を久しぶりに訪ねるためだった。しかし、長男の幸一も長女の志げも毎日仕事が忙しくて両親をかまっている暇がない。そんな2人をもてなしたのは、戦死した次男の妻・紀子だった。紀子は仕事を休んで2人を東京の名所観光に連れて行った。時間のとれない長男の幸一は、2人を熱海の旅館に宿泊させる事にした。

しかし、その旅館は若者向けで騒々しく、寝付けなかった2人は早々に東京に戻ってきてしまう。長男の家にも居づらくなり、2人は出て行く。妻とみは紀子の家に泊まり、周吉は古い友人と酒を飲み交わし、泥酔して警察のお世話になり、長女の志げはあきれてしまう。

2人は尾道へと帰っていったが、数日して妻のとみが危篤となり、亡くなってしまう。葬式を終え、長男幸一と長女志げは悲しみつつも、どこか冷めた表情だった。そしてそそくさを東京に帰っていってしまう。紀子は歳を取れば誰でも自分の生活が一番大切になるものだと、義兄姉をかばう。紀子が東京に帰る前に、周吉は東京で世話になったお礼を言い、紀子に再婚を勧める。実は東京でも、とみから再婚を勧められていた紀子は、自分の押し殺してきた事を告白するのだった。それはいつまで一人で生きていけるか不安だったという、告白だった。

レビュー

晩春」「麦秋」に続く、紀子三部作の最終章にして、日本映画の最高峰の作品が「東京物語」だ。男である僕でも、紀子の生き様は参考になるし、自分もいつまでもそうありたいと思う。三部作で共通しているのは、誰にでも平等にやさしくあれと言うことだ。この作品では特にそれが強調されている。簡単な事ではない。どうしても自分の事を優先してしまいがちだし、まして現代は時間に追われた忙しい世の中だ。何が本当に大切なものか、大事なものか、それをちゃんと考えちゃんと見極め、ちゃんと認識する必要がある。そんな気持ちを常にもって生きてゆきたいと、紀子を見るといつも思う。

正直言って、小津のローアングルや奥行きのある3次元ショット、そんな技術的な事なんか全部忘れてしまえ。そんなものよりも、もっと大事なものを正面から見つめる事、その大切さを教えてくれている映画だ。

 

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