『こわれゆく女』

【監督】 ジョン・カサベテス
【出演】 ジーナ・ローランズ,ピーター・フォーク
【公開】 1974年 米 146分
【受賞】 第32回ゴールデングローブ賞 主演女優賞(ジーナ・ローランズ)
【ジャンル】 人間ドラマ

ジーナ・ローランズ、世界最高の女優が魅せる狂気

予告編

あらすじ

ニックとその妻メイベル、そして3人の子供たちがいる家族のお話。メイベルは家族や友人に対する強い愛情をコントロールできない性格を持つ主婦だった。ある日、夫婦2人だけで過ごすのを楽しみにしていた夜、急な仕事で帰宅できなくなるニック。メイベルはひとり夜の街に繰り出し、バーで見つけた男を夫婦の寝室に連れ込む。メイベルの奇行の始まりだった。必死で正気を保とうとするが興奮のあまり抑制が効かなくなるメイベル。友人に忠告されても、妻の精神異常を認めないニック。しかし自分の愛情がメイベルに伝わらないことで、ついに彼女を精神病院に入院させる事にする。

半年後、多くの友人や親族を招き、メイベルの退院を迎えようとしたニックだったが、入院前とまったく変化していないメイベル。必死に自分を抑制しようとするメイベルだったが、またしてもヒステリー状態に陥ってしまう。しかし本当の原因はニックにこそあったのだが。。。

レビュー

映画はえてして大袈裟な表現が用いられる。もちろんその方が観客にわかりやすいし、ストーリーを組み立てやすいからだ。この作品でも主人公の主婦は精神異常を起こすとはいえ、寂しさを紛らわすために男漁りに走り、自分自身への嫌悪から周囲に八つ当たりをしている。でもこれって、私達の日常で起こっている事と同じ事だ。その我慢のレベルは各個人で違えど、誰にでも起こっている事なのだ。ただこの作品の主婦の場合はもともと気性が荒くて、度を越えてしまっているだけ。でも度を越える事だって日常的に私達の周りでも起こっているし。

これまで観てきた女優の中で、主演のジーナ・ローランズ以上の女優はいない。というよりも、他と比べ物にならない次元で芝居をしている。精神異常を起こした時の顔と、普段の穏やかな顔が、まるで人格が変わってしまう多重人格者のように違う。これを芝居でやっているんだからすごい。はじめてみた時は、この人は本当に異常者なのではないかとさえ思ったほどだ。「迫真の演技」とは彼女のための言葉だと言える。

こわれゆく女 HDリマスター版 [DVD]
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