『undo』

【監督】 岩井俊二
【出演】 豊川悦司,山口智子,田口トモロヲ
【公開】 1994年 日本 45分
【受賞】 1995年ベルリン国際映画祭フォーラム部門NETPAC受賞
【ジャンル】 恋愛

予告編

あらすじ

マンション住まいの一組の若い夫婦。ある日、妻が犬を飼いたいと言い出すが、マンション暮らしのためそれは実現せず、替わりに亀を飼うことになる。そして妻の歯列矯正の治療が終わり、やっと二人の時間ができたと思った矢先、今度は夫の仕事が忙しくなり、夫婦の時間は急速に減っていく。退屈な妻は一人の時間を埋めるために編み物を始めるが、自分の手を毛糸で縛っていることに気が付き、徐々に精神のバランスを崩していった。あらゆるものを「縛りたい」という欲求にとらわれた彼女は、本、ハサミ、ワープロ、亀、そして部屋のドアまでも縛ってしまう。心配した夫は精神科医へ妻を連れて行く。すると「強迫性緊縛症」との診断を受け、夫が妻を精神的に縛っていることが原因ではないかと指摘される。しかし実はその逆で、妻は自分をかまってくれない夫に対して「自分を縛ってほしい」という願望だった。彼女の症状は悪化していき、目に見えないものまでを縛ろうとしはじめる。

レビュー

短編作品ではあるが、余計なものを一切介さずに、まるで舞台劇のような作品。そして追求していく「愛」の形を、岩井俊二独特の映像美でつづっている作品。DVDのカバーにもなっている道の真ん中でキスするシーンは、本当美しい。

映像美とは裏腹に、テーマは非常に難しい。愛という形のないものに対して、それを具現化していこうとする妻の病気は、ある意味で万人が抱えている問題でもあるように思う。愛のバロメーターが目に見える形であったらどれだけ楽な事か。でも人は目に見えない関係を埋めるために言葉を話し、字を書き、知能というものを手にしてきた。そして携帯電話やメール、チャットとつながりを求めて、時代は進化していく。その根源的な問題をこの作品は扱っている。

 

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