『さらば、わが愛／覇王別妃』

2013/12/07

【監督】　チェン・カイコー
【出演】　レスリー・チャン,チャン・フォンイー,コン・リー
【公開】　1993年　香港・中　172分
【受賞】　1993年カンヌ国際映画祭パルム・ドール
【ジャンル】　人間ドラマ

チェン・カイコーとレスリー・チャンの最高傑作

あらすじ

1930年代の中国・北京。娼婦の私生児である小豆子は、捨てられるように京劇俳優養成所に預けられる。そこで待っていたのは厳しい訓練生活、そして娼婦の子ということでのいじめであった。しかし先輩である石頭が、たびたび彼を助け、やがて小豆子は石頭に同性愛的な思慕を抱くようになっていく。また石頭も小豆子をかわいがる。
成長した2人は、それぞれ程蝶衣（小豆子）と段小楼（石頭）という芸名を名乗り、京劇「覇王別姫」で共演し、トップスターとなる。蝶衣は少年時代と変わらず小楼を想っていたが、小楼は娼婦の菊仙と結婚し、深く傷つく。
時は流れ、1960年代。中国全土に文化大革命が起こり、京劇は堕落の象徴として禁止されてしまう。俳優である２人には世間から虐げられるようになっていく。

レビュー

中国の時代描写をしながら、２人の人生にスポットライトを当てている、チェン・カイコーらしい作品。彼の作品は時代背景に影響されている人々を描き出す事が多い。ゆえにダイナミックな物語性を持っており、スポットライトが個人だけに当てられている作品よりも、より物語に深みを与える事につながっている。この作品は近代の中国の歴史そのものでもある。

この作品でのレスリー・チャンはまさに神がかり的。彼の演技は本当に印象に残るし、どの作品でも外れがない。しいて彼のベストを挙げるとこの「覇王別記」か「ブエノスアイレス」。どっちもゲイ役なんだけど、迫真の演技。若くして亡くなってしまったのは本当に残念だ。