『鳥』

2013/06/24

【監督】　アルフレッド・ヒッチコック
【出演】　ロッド・テイラー,ジェシカ・タンディ,スザンヌ・プレシェット,ティッピ・ヘドレン
【公開】　1963年　米　119分
【ジャンル】　サスペンス

あらすじ

舞台は静かな港町。突如として鳥たちが人を襲いだす。それは家の中にまで及び、死者まで出してしまう。鳥の数は徐々に増していき、大規模な火災にまで引き起こってしまう。そして子供にまで死者を出し、鳥の異常な行動は激しさを増していく。あまりの数の鳥を前に、人々は成すすべなく、一方的に攻撃を受け続け、逃げるしかなかった。

レビュー

当時はＣＧ合成のない時代なので、今この作品を観ると鳥に襲われる部分は、かなりしょぼい。合成まるわかりな映像で、見るに耐え難い。しかしこの映画は、その後のパニック映画やゾンビ映画などにも、相当影響を与えていると思う。特にエンディングにおける、人が成すすべなく立ち去るしか方法がない終わり方。これは最近ではバイオハザードなんかが、同じような手法をとっている。

またヒッチコックの演出のうまさを感じた印象的なシーンは、主人公の女性がタバコを吸って子供達が下校するのを待っているところに、主人公が気付かない間に鳥がむらがてくるシーンだ。主人公はタバコを吸っている。その背後にあるジャングルジムに飛んでくる一羽の鳥。尚もタバコを吸っている主人公。次にジャングルジムを画面が捕らえると、数が増えている。そんな主人公とジャングルジムのカットが交互に繰り返される度に、鳥の数は増えていく。主人公の女性はそれに全く気付いていない。観客だけがハラハラさせられている。そして主人公が飛んでくる一羽の鳥に気付き、その鳥を目で追っていくとジャングルジムに数え切れない鳥がとまっているのに、ようやく気付くという、一連のシーンだ。ほんの短いシーンだが印象的なカット構成で、ハラハラさせられる。またこのシーンでは効果音が恐怖感をさらに高めるように効果的に使われているのも特徴だ。