博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

2013/09/02

【監督】　スタンリー・キューブリック
【出演】　ピーター・セラーズ,ジョージ・C・スコットュ
【公開】　1964年　英・米　93分
【受賞】　英国アカデミー賞作品賞総合部門・作品賞国内部門・美術賞モノクロ部門・国連賞
【ジャンル】　人間ドラマ

予告編

あらすじ

精神に異常をきたしたアメリカ軍のある将軍の命令によって、ソ連に向けて核兵器を搭載した戦闘機が飛び立つ。しかもこの戦闘機は無線をキャッチできないようになっていて、唯一、精神に異常をきたした将軍だけが、攻撃を中止するための暗号を知っていた。この知らせを受けたアメリカ軍部は、ソ連大使を呼び出し、ソ連首脳とホットラインでつなぎ、協議を行う。ソ連首脳は、もし核攻撃が行われた場合、ソ連は自動的に人類皆殺し爆弾を発動するように、事前にセットされているとの事をアメリカに伝える。狂った両国首脳と科学者達が集まって、イカレタ議論が繰り広げられる。最終的には、あらゆる対策のかいもなく、核兵器はソ連へ向かって、投下されてしまう。。。

レビュー

もうこれはコメディの枠を超えている。時代も時代なだけに、よく公開できたと思う。何しろアメリカとソ連の核戦争がテーマだからだ。何が素晴らしいかというと、全編にわたる異常性。もう全部がうそなんだけど、それらをむちゃくちゃな映画作品として、まとめてしまうのが、もうキューブリックにしかできない荒業だと思う。

核戦争をテーマにした作品で、映画ではなく日本の漫画で、「沈黙の艦隊」という作品がある。この漫画は逆にリアリティある話で、いやこれもリアリティはないけど、起こりうる話だと思う（海江田四郎の能力は別にして）。そう考えると、この映画の話も、あながちありえない話ではない。この世に核兵器が存在する限り、誤作動だってありえるし、この作品のように、精神に異常をきたした兵士が発射してしまうことだって起こりえる事だ。そう考えると、作風がコメディであるから上映も可能だったわけで、これをシリアスな作風にしたら、それこそ上映できなかっただろう。でも皆が肝に銘じたのだろうか、核兵器に対しての認識を。