『ファーゴ』

【監督】 コーエン兄弟
【出演】 フランシス・マクドーマンド,ウィリアム・H・メイシー,スティーヴ・ブシェミ,ピーター・ストーメア
【公開】 1996年 米 98分
【受賞】 アカデミー賞 主演女優賞・脚本賞、カンヌ国際映画祭 監督賞、英国アカデミー賞 監督賞
【ジャンル】 人間ドラマ

何が大切で、何が幸せか。

予告編

あらすじ

ミネソタ州の雪が積もる、いてつく寒さの片田舎が舞台。自動車セールスマンのジェリーは借金を抱えていた。彼は自分の妻ジーンを誘拐し、裕福な妻の父親から身代金として金をせしめ様と計画する。その計画のために2人のチンピラに会い、細かな打ち合わせをして、自分の妻を誘拐するようにを依頼する。

誘拐まではうまくいったが、その後2人の誘拐犯はへまを起こし、関係ない殺人を犯してしまう。そのことで報酬額の吊り上げをジェリーに要求し、ジェリーは仕方なく、妻の父に多額の身代金を要求された事を告げる。古いタイプの妻の父は自ら身代金を持って彼らとの待ち合わせ現場に赴く。誘拐犯とジェリーの計画にはなかった行動に、誘拐犯も動揺し、結果誘拐されている妻の父は殺されてしまう。

当初は、簡単に事を済ませようとしていた偽装誘拐は、突拍子もない事の連続で、思わぬ方向へと進んでいく。一方でこれらの事件と平行して、妊娠中の女捜査官は、淡々と事件を追っていた。

レビュー

コーエン兄弟の名前が日本でも有名になったのは、この作品からだったと思う。それまでの作品の集大成的な意味合いで素晴らしいのが、キャスティングとキャラクター。主人公のフランシス・マクドーマンドは、デビュー作「ブラッド・シンプル」で不倫する主婦役を演じた女優。強い意志と、やわらかな表現を持ち合わせた性格俳優タイプ。この作品では、妊娠中の警官役で、すっとぼけた役柄。赤ちゃんを宿した事で、ちょっとの事には動じない強い神経をもっているのかと思いきや、そうでもなかったり。田舎の警官だけあって、のんびりしてるのかな。とにかく味のある女優。ちなみにフランシス・マクドーマンドは、のちに監督のコーエン兄弟の片割れ、ジョエル・コーエンと結婚している。

そして大好きな俳優がもう一人。スティーヴ・ブシェミ。
彼はどちらかというと、マニアックな作品に出演する事が多かったが、その後メジャー大作にも出演するようになる。とにかく強い個性的な顔立ちとしゃべりで、一回見たら忘れないタイプの俳優。演じるキャラクターもその個性に合わせた、イカレタ役柄が多い。とにかく存在だけで笑わせてくれる貴重な俳優の一人。

ある片田舎で起こった殺人事件が、淡々と描かれている。冒頭に「this is a true story」とあるがこれも演出で、このストーリーは事実ではない。しかし現実にはこうも悲しい事件がたくさんあるという事を、監督のコーエン兄弟は警告しているのだと思う。コーエン兄弟のテーマは一貫している。作風が違えど、伝えようとしているのは人間の欲深さ、そしてその悲しさなんだと思う。そんなものより、もっと身近で確かな幸せがあるだろうと、言っているのだと思う。そのために主人公は妊娠しているのかもしれない。

 

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