【監督】 黒澤明
【出演】 三船敏郎、山田五十鈴、千秋実
【公開】 1957年 日本 105分 白黒作品
【受賞】 1957年度リスボン映画祭 特別賞、第1回ロンドン映画祭 最も独創的な映画賞
【ジャンル】 人間ドラマ
予告編
あらすじ
シェイクスピアの戯曲「マクベス」を、日本の戦国時代に置き換えた作品。蜘蛛巣の森で、不気味に出現する老婆の語った事がやがて人の強欲を掻き立て、不条理な行動へと誘う。何が真実で何を信じればいいのか、やがて精神が崩壊していく人々の様を描き出す。時代設定は戦国時代に置き換えられているが、マクベスの意図を忠実に再現しているとして、世界中で評価の高い作品。
感想・見所
見所はなんといってもラストシーン。無数の矢が主人公めがけて飛んでくる。これがすべて本物の矢だったらしい。黒澤監督は専門家を招いて、画面に映らない位置から、本物の矢を三船敏郎めがけて放ったそうだ。普段何事にも動じない主人公役の三船敏郎も、さすがに肝を冷やしたらしい。そりゃそうだ。本物の矢が飛んでくるわけだから。後日、三船はこの件で、黒澤明の自宅を散弾銃を持って襲撃してやろうとしたらしい。
黒澤明作品は、人の心(欲)を映し出したものが多い。これは黒澤明がヨーロッパ文学を好む傾向にある事からもわかる
シェイクスピア 『リア王』 ⇒ 「乱」「蜘蛛巣城」
マクシム・ゴーリキー「どん底」(同名)
ドストエフスキー「白痴」(同名)
どんな人でも陥りやすい「欲」にまみれていく様を描き出している。この作品でも皆が欲へとかられて行動している。
それから、黒澤映画では自然現象がとても迫力をもって描かれている。この映画では「霧」が印象的。特にモノクロ映画なので、より一層効果的に描かれている。幻想的であり、また恐怖を誘う。人の闇を象徴的に表現している。
またこの作品では女優、山田五十鈴の演技が際立っている。徐々に狂って行く様は「グロリア」のジーナ・ローランズを彷彿とさせる見事な演技だと思う。

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