『羅生門』

【監督】 黒澤明
【出演】 三船敏郎、山田五十鈴、千秋実
【公開】 1950年 日本 88分 白黒作品
【受賞】 ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞・イタリア批評家賞
【ジャンル】 人間ドラマ

1つの事件に4つの証言。真実はどこにある?

予告編

あらすじ

芥川龍之介の「藪の中」を下敷きに作られた作品。羅生門に雨宿りにやってきた下人が、先に雨宿りしていた二人の人物から、ある事件についての顛末を聞く。その事件というのはある武士が殺されているのが発見され、その人物の関係者や目撃者など、4人が次々と連行されてくる。その4人による証言が、事件当時の回想として描かれる。しかし4人の話はどれも食い違っていた。真実は…

感想・見所

世界三大映画祭の一つであるヴェネツィア国際映画祭でグランプリを獲得した金字塔的な作品。そして以後の作品も含め、黒澤明が「世界のクロサワ」と呼ばれるようになるきっかけとなった作品。映画人からも非常に評価の高い。

まず、圧倒的な「羅生門」の迫力。セットとして作られたのだろうけど、その朽ち果てた門のリアリティと、大きさに圧倒されます。もちろんセットであれば、もっと大きなものはいくらでもある。映画「タイタニック」のタイタニック号なんかまさに馬鹿でかいセット。しかし、そのカメラが映し出す捕らえ方の違いなのか、圧倒的な存在感がある。そして凄まじく降る雨が画面のこっちまで伝わってくる迫力。

黒澤映画の代名詞の一つでもある、雨。それも圧倒的な量の雨を降らせるのが特徴。冒頭の1シーンだけで、一気に作品に引き込まれていく。

この作品で一番の印象にあるのは、藪の中での「太陽の光」。太陽がギラギラと藪の中に注ぎ、その光が木の葉の間から、木漏れ日となって注いでいる表現が凄まじくきれい。藪の中という、ちょっと隠れた見えにくい場所へと注がれ、人間の本心を写し出そうとしているかの様。実際、作品の中では人間のさまざま欲が映し出されている。生々しい性欲であり、ある時は殺意であり。それらを効果的に表現方法として用いている。黒澤作品のダイナミックな演出には、こうした内面がうまく表現されていると思う。

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