『十二人の怒れる男』

2013/12/12

【監督】　シドニー・ルメット
【出演】　ヘンリー・フォンダ
【公開】　1957年　米　96分　白黒
【受賞】　第7回ベルリン国際映画祭金熊賞
【ジャンル】　人間ドラマ

密室劇の最高傑作！

あらすじ

法廷では殺人事件の審理が終わり、12人の陪審員が評決のため陪審室に引きあげてきた。被告は17歳の少年で、父親殺しの罪に問われていた。彼は日頃から不良として評判だった。

法廷に提出された証拠や証言から、少年には圧倒的に不利な状況であり、陪審員全員一致で有罪になると思われた。しかし一人、陪審員8番だけが少年は犯人かもしれないが、有罪の確かな証拠はないと主張したのだった。そこで証拠の見直しが行われた。そしてひとつひとつの証言や証拠を検証すると、無罪の可能性も出てきた。第二回目の評決ではまたひとり無罪とする陪審員が出てきた。かれらは徐々にこれまでの審議が固定観念に囚われていた事を悟り、証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証していくことになる。

レビュー

陪審室での舞台劇のような作品。物語は12人の陪審員が語る事件の証拠や証言に関する事だけで、事件全体を浮かび上がらせ、そのなぞに迫っていく。それは、まるで落語の世界だ。語り手によってのみ事件が伝えられる手法で、この作品は成り立っている。なので事件の派手な再現映像があるわけではなく、陪審室の12人の討議だけだ。これがすごく事件を連想させていて、引き込まれていく。落語を聴いている時に、語られる話が脳裏にイメージされていくの感じと同じように、すごくイメージができるので、面白い。何度もリメイクされており、いかに完成度の高い脚本であるかが分かる。