【監督】 リー・デヴィッド・ズロトフ
【出演】 アリソン・エリオット,エレン・バースティ,マーシャ・ゲイ・ハーデン
【公開】 1996年 米 117分
【受賞】 1996年サンダンス映画祭 観客賞
【ジャンル】 青春映画
人にやさしく、美しく生きたいなと思う。
あらすじ
メイン州の小さな町で、若い女性パーシーがバスを降りた。彼女は5年間の刑期を終えてこの町にやってきたのだ。保安官の斡旋で、ハナの営む小さなレストランに、住み込みで働き始める事になった。偏屈なハナと最初はうまくいかなかったが、ある日、ハナが脚を骨折してしまい、パーシーは彼女を病院まで運んでいったことから、ハナはパーシーを少しずつ信頼していく。しかし相変わらず、彼女の甥のネイハムは前科者としてしか見ていなかった。パーシーが店を切り盛りするのは心配なので、妻のシェルビーを店で手伝わせた。最初はおどおどしていたシェルビーだったが、次第にパーシーと心を通わせていく。
ある晩ハナから、裏庭に缶詰を入れた麻袋を置くようにと頼まれたパーシー。そして夜中にそれを持ち去る男をパーシーは目撃する。彼の事を「ジョニー・B」と名付けた。パーシーは親しくなったシェルビーから、ハナがひとり息子のイーライをベトナム戦争で失っていた事を聞く。
これまでハナは10年も前から店を売りに出していたのだが、買い手が付く事はなかった。パーシーは以前聞いた話で、作文コンテストをやる事を提案する。それは応募料100ドルで、店への夢を語った作文を募集して、一等に選ばれた人に店をプレゼントするというものだった。早速やってみると、予想を上回る多くの手紙がよせられた。
ある朝、森を散歩していたパーシーはジョニー・Bと触れ合う事になる。しかし、帰ってきたパーシーにハナは怒りをぶつける。実はジョニー・Bとは、戦争で心を痛めていたイーライだったのだ。順調な生活を送っていたパーシーだったが、思わぬ方向へと物語りは進む事になる。
レビュー
美しくも残酷な物語。人は他人の事を一側面だけを見て、判断してしまいがちだ。この人は刑務所帰りだから、悪い人だと。それ自体は確かにその人の特徴である。でもその人のすべてではない。しかし人はその1つの特徴によって、その人を判断してしまいがちだ。それはある意味では仕方ない事で、その人に関する情報を持ち合わせていなかったり、理解しようとする気がなかったり、様々な理由から、仕方のない事だ。
この作品の主人公は、自分がどう見られているのかは理解しているし、それについて不満はない。でもそれ以上の事で、悪く思われてしまっている事に、悲しみを抱えていた。でもそれも自分が招いた種であると自分に言い聞かせている。それを少しでも改善するために努力を続けているのだ。その真っ直ぐな思いが、ラストで彼女を山へと誘う。この物語を不幸と見るか、幸せな物語と見るかは判断の分かれるところだと思う。ある意味では起こってしまった事はしょうがない事で、それでも世界は続いていくわけだから。そう考えれば、ラストの出来事によって、救われる人がいるという事は幸せなことなのではないかと思えてくる。
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