【監督】 ジュゼッペ・トルナトーレ
【出演】 フィリップ・ノワレ,ジャック・ペラン,サルヴァトーレ・カシオ
【公開】 1988年 伊 155分
【受賞】 1989年 カンヌ国際映画祭審査員特別賞、1989年 アカデミー外国語映画賞
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
現在のローマ。映画監督のサルヴァトーレは、夜遅くに帰宅し、故郷の母からアルフレードが死んだという知らせを受け取る。
サルヴァトーレはベッドで寝ながら、少年時代を過ごしたシチリアの事を思い出すのだった。
第二次世界大戦中、当時「トト」と呼ばれていたサルヴァトーレは、母と妹と三人暮らしだった。父は戦争に取られてしまっていた。当時、村の唯一の娯楽は広場にあった映画館だった。トトも映画が大好きな子供だった。トトは何度も映写室に潜り込んでは、映写技師のアルフレードにつまみ出されていた。しかしそのうちに親しくなり、トトは毎日のように映写室に入り浸るようになる。
当時は牧師の検閲で、「キスシーン」がカットされて上映されていた。観客は毎回ブーイングを起こしていたが、それでも村で唯一の娯楽を心から楽しんでいた。
そんなある日映写室から火の手があがり、アルフレードは失明してしまう。焼け落ちた映画館は新たに立て直され、トトが映画技師として働くようになる。そのうちに自分でも撮影をするようになったり、恋をしたり、そして兵役に行ったりしながら、トトは成長していった。
そして自分の将来を思い悩んでいるトトに、アルフレードは、「外に出て道を探せ、村にいてはいけない、そして帰ってくるな!」と言いうのだった。トトは村をあとにする。そして帰ってはこなかった。
レビュー
映画の楽しさを教えてくれたのが、この作品だ。高校生になったばかりの頃に見た映画で、それまでの子供向け映画から、大人の映画を観るようになるきっかけになった作品かもしれない。映画を好きになる要素がたくさん詰まっていた。
僕の生まれ育った街には、子供の頃は7つの映画館があった。それぞれが東映系列だったりと、上映する作品にも色があったと思う。初めて観に行ったのは幼稚園の時で「ドラえもん」だった。親戚の子と、初めて子供達だけで行った映画館は、めちゃくちゃ広く感じた。田舎の映画館なので、今思えばそんなデカイはずはないけど。そんな思い出をよみがえらせてくれる映画が、この作品。
みどころ
映画館に入りきらないお客さんのために、広場に映画を映し出すシーンは感動的だった。まだ映画が人々の数少ない娯楽だった時代。それと日本とは違って、ヨーロッパでは広場は町の交流の場であったので、すべての出来事が広場で起こっていた。それを象徴するのが広場に住み着いたホームレスなんだろうと思う。貧しいけど幸せな空間がそこにはあったのだろう。
それと、もちろんこの作品のラストシーンは映画史の名場面のひとつだ。数々の作品のキスする場面をつなぎ合わせたフィルムは、時空を超えて思い出を映し出していた。
それと隣町の映画館とフィルムを兼用しているので、入れ替えに駆けずり回っているシーンも興味深かった。きっと昔はこうした事が日常茶飯事だったのだろう。こうした心温まる過去の出来事が詰まった映画でもある。
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