『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

2013/11/09

【監督】　岩井俊二
【出演】　山崎裕太,奥菜恵,反田孝幸,小橋賢児,麻木久仁子,田口トモロヲ,石井苗子
【公開】　1993年　日
【ジャンル】　青春映画

あらすじ

小学生の典道と祐介は仲の良い親友だが、実は二人とも同級生のなずなのことが好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて二学期から転校することになってしまう。しかしその事を２人の男の子は知らない。放課後、プールの掃除当番だった典道と祐介は、掃除そっちのけでプールで遊んでいた。もう一人の当番はなずな。２人の男の子は50メートルの勝負を始める。始めはリードしていた典道だったが、ターンの時にプールのヘリにかかとを思い切り打ちつけ、先にゴールしたのは祐介。その祐介がプールから顔を出すと、なずなは、今夜の花火大会に一緒に行こうと誘うのだった。
しかし祐介は典道の足のケガに気づき、自分の家の病院で見てもらえと勧める。典道が祐介の家に行くと、大きなトランクを抱えたなずなが祐介を待っていた。なずなは「君を誘ったら裏切らなかった？」と尋ね、典道は「俺は裏切らないよ」と答える。そこへなずなの母親があらわれて、なずなを無理やり連れ去ってしまう。どうすることもできなかった典道は、「あの時、俺が勝ってれば」と思うのだった。。。

レビュー

もともとテレビドラマ「ifもしも」の中で放送された作品だったが、その作風はすでに異彩を放っていた。映像がフィルムのテイストで作られ、ストーリー展開もドラマの域ではなかったからだ。この作品が忘れられない影響を僕に与えたのにはいくつかの理由がある。

まずマドンナ役の奥菜恵がめちゃくちゃかわいい。この作品のせいで、小学校時代のクラスのマドンナの顔は、奥菜恵に書き換えられてしまった。それとこの作品のように僕のクラスのマドンナも転校していってしまった事。また子供の頃になんとなく思っていた「花火は横から見ても丸いのか」という疑問を取り上げている事。僕の地元でも大きな花火大会があった。そのせいもあってか「花火を見に行く＝恋愛」的な事が、子供の頃から植えつけられていた。そして夜の学校のプール。こんなロマンチックな場所はない。夕暮れから夜にかけて、誰もいなくなった学校によく忍び込んでは、友達と長話したり肝試ししたり、そんな記憶を思い出させてくれた。そんなわけでたぶん当時高校生だったんだけど、過去の青春と進行形の青春が絡み合って、忘れられない作品となった。