【監督】 クリント・イーストウッド
【主演】 クリント・イーストウッド,ヒラリー・スワンク,モーガン・フリーマン
【公開】 2008年 米 133分
【受賞】 第77回アカデミー賞 作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞
【ジャンル】 アクション
あらすじ
ボクシングジムを営んでいる元カットマン(止血係)のフランキーは、トレーナーとして腕を振るってはいたが、あまりにも安全なボクシングを優先するあまりに、有望な選手を育てながらも、ビッグマッチを組めない事から、多くの優秀なボクサーに逃げられてしまっていた。そんな不器用な生き方は家庭でも同じように、家族とは音信不通状態であった。そんなジムをある日、孤独に生きるある女が訪ねてくる。ボクシング経験もない31歳の女、マギー。やる気だけはあるが、フランキーは全く聴く耳を持とうとせず、トレーナーになる事を断り続ける。しかし元ボクサーで、現在はジムの雑用係りであるエディは、彼女の能力を見抜き、フランキーにトレーナーを勧める。
こうしてマギーのトレーナーをする事になったフランキー。マギーはフランキーの指導の下、試合で勝ち続けて、やがて評判になりはじめる。あまりの強さから階級を上げる事になったものの、そのウェルター級でも勝ち続ける事になる。そして2人の間にはやがて実の父娘以上の愛情が芽生えていく。それはフランキーにとっては失った家族であり、マギーにとっては初めての確かな愛情だったのかもしれない。
そして、これまでフランキーが避けてきた危険な試合にも、2人は取り組んでいく事になる。
レビュー
ネタバレになるのだが、この映画のラストでは「尊厳死」についてのテーマへと物語りは進んでいく。僕は正直、尊厳死には賛成派だ(自殺も含め)。知能を備えてしまった人間に与えられた選択肢だと考えるからだ。自殺がいい事だとは、もちろん思っていない。決してあってはほしくない事である事は間違いない。しかし、究極的に一人の人間が望む生き方として、死を選ぶという生き方も、僕は尊重したいと考えている。倫理的にとか、宗教的にとかではなく、人が考え、悩み、選んだ道でなのだからという理由からだ。
正直な話、1年前に親族から自殺者が出た。それを聴いた時はショックで、僕自身1ヶ月くらいは本当に精神的におかしかった。アメリカにいたのですぐに行くこともできないし、葬式にも出れなかった。それ以上に、数年前から正常な生活を送っていないと聴いていたので、なんで何もしてやれなかったのだろうかと、自己嫌悪的な感覚に襲われもした。でもそうした事を一通り思い悩んだ後に、辿り着いた答えが、彼の行為を認めるという考えだった。きっと彼は、僕が想像する以上に、経験した事がないくらい悩み苦しみ、そして出した答えが「自殺」というものだったと思うからだ。だから彼の選択を認め、尊重するべきだという答えに今は至っている。人生をだらだら生きるのもいいし、太く短い人生もまたある。そして彼はその短い人生の中で濃密に考え悩み、時間に換算すればもしかすると途方もない長い時間を生きていたのかもしれない。そして至った死。
そんな風に考えるようになった。尊厳死もしくは自殺に関する考え方は、人それぞれあると思う。ただこの作品の中に生きる人達は、皆一生懸命に人生を生き、そして死んでいくんだと思うと、単純になんか「頑張って生きたよね」とか、言えるように生きていきたいなと思った。
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