【監督】 マーティン・スコセッシ
【出演】 ロバート・デ・ニーロ,ジェリー・ルイス
【公開】 1983年 米 109分
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
人気コメディアンに憧れるパプキン。彼はひょんな事から芸能界にコネを作り、その道に光がさしたかに見えた。しかし、彼はコメディアンに憧れているだけで才能はない。周囲でも認めてくれる人は皆無。なのに彼自身だけは、人気コメディアンになれる気でいる。それはやがて過大妄想へと発展し、彼はすでに自分が人気コメディアンであると思い込んでしまっている。しかし、そんな妄想だけのはずだった彼に奇跡的なチャンスが訪れる。彼は一夜限りのTVショーへの出演を可能にする。もちろん周囲は何も期待しているわけではない。しかし本人は至って本気で、控え室に入った彼はメイクを頼む。そんな彼を周囲が茶化すと、彼は「時間がないんだ」と、くそまじめに答えるのだった。
レビュー
この作品は一見コメディに見えるが、中身は「タクシー・ドライバー」である。スコセッシ監督の描く人物像は、どこか大袈裟でデフォルメされてしまっているが、タクシー・ドライバーでもそうだけど、人間が陥りやすい人物像をわかりやすく、その要点を浮き彫りにしている。この作品の主人公も、自分は人気コメディアンになったつもりでいる。初めは憧れ目指していたコメディアンの道だったが、それはいつしか、自分がなったつもりになってしまっている。思い込みの激しい精神的にどこか病んだいる人物だ。作品としては面白いが、ちょっと痛い感じのする面白さ。タクシー・ドライバーよりも笑えるが、周囲を巻き込んでいる分、この主人公の痛さ加減は半端ではない。
痛い。痛すぎる主人公。またしてもデ・ニーロの一人芝居が繰り広げられている。おかしくて笑えるけど、痛い。でも格好だけは様になってて、またそれがうける。思うに、Mr.ビーンはこのパプキンがモデルなんじゃなかいと思えてしまう。本人は本気で、まじめにコメディアンでいるつもりなんだけど、まったくそうではないという現実があって、妄想に現実が追いついていない感じがMr.ビーンぽい。結局は、セキュリティに追い出されてしまう現実と、それでも彼は妄想の世界に居続けるという痛さが面白い。
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