【監督】 マーティン・スコセッシ
【出演】 ロバート・デ・ニーロ,シビル・シェパード,ハーヴェイ・カイテル,ジョディ・フォスター,アルバート・ブルックス
【公開】 1976年 米 114分
【受賞】 第26回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
ベトナム帰りの元海兵隊員と称する男、トラヴィスはタクシードライバーをしていた。過度な不眠症を患っており、社交性に欠け、孤独さから異常性を持ち合わせている人物だ。休みの日にはポルノ映画館に通い、車でマンハッタンの街を当てどなくさまよい、麻薬と性欲に溺れる若者や盛り場の退廃ぶりに嫌悪感を持っていた。
ある日、トラヴィスは選挙事務所に勤務する女性に惚れ、トラヴィスは彼女をデートに誘う。徐々に親密になっていく関係も、トラヴィスが日ごろ通っているポルノ映画館に誘った事で、ご破算してしまう。最終的にトラヴィスは事務所に押し入り、「殺してやる」と彼女を罵しる。
トラヴィスの不眠症はさらに深刻になりつつあり、それと共に異常性は増す一方。そして彼は、「腐敗しきったこの街を俺が浄化してやる」という異常な正義感に駆られるに至り、拳銃を仕入れ、射撃の訓練と肉体の強化に励んでいく。「俺に用か? 俺に向かって話しているんだろう? どうなんだ?」と鏡の前で演技の練習をするトラヴィス、完全に精神を病んでしまった男がそこにはいた。そして彼は拳銃を装備して街へと繰り出し、犯罪を起こしてしまうのだった。しかし思わぬ方向に事件は進んでいく。
レビュー
ロバート・デ・ニーロの演技が冴え渡る作品。その異常性のある男を、顔の表情だけでも伝える演技の素晴らしさには驚かされる。ちょっとしゃくれたしゃべり方をするという演技で、自分の世界に浸る人物を演出している。
主人公はかなりの異常性の持ち主ではあるが、これは誰もが陥る可能性のある題材だと思う。孤独で、俗世との関わりを避けてしまうと、自分だけの考え方に固執してしまいがちだ。なのでこの主人公のように自分だけが存在する世界になってしまいがちだ。そして犯してしまう犯罪。これは近年で言えば秋葉原での殺傷事件などが記憶に新しい。
とにかくロバート・デ・ニーロの演技だ。部屋の中で一人でセリフの練習をするという半狂乱に陥った主人公をみごとに演じていると思う。最初は結構笑えるんだけど、次第に笑えない深刻な異常性に、恐怖すら感じる演技だ。
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