【監督】 コーエン兄弟
【出演】 トミー・リー・ジョーンズ,ハビエル・バルデム,ジョシュ・ブローリン
【公開】 2007年 米 122分
【受賞】 第80回アカデミー賞 作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
(ネタバレ含む。ただ核心には触れていない。)
メキシコ国境に近い荒野で、ベトナム帰還兵であるモスが殺人現場に出くわす。息絶えようとしている男と、車の二台にはコ麻薬らしきものがあることから、モスは取引のトラブルが原因で起こった銃撃戦である事を知る。そしてブリーフケースに詰まった大金を発見し、持ち帰る。しかし息絶え絶えの男が気になり、殺人現場に再度訪れた時に、仲間のマフィアに発見されてしまう。なんとかその場は逃げ切ったものの、モスは追われる身となる。モスは自分の妻を実家に帰し、自分もモーテルに身を隠す。
マフィアが雇ったのは殺し屋のシガー。人を殺す事に何の感情も持たない男であり、表情のまったくない、まるで能面のような顔を持つ男シガー。問答無用にモスを追うシガー。マフィアの追っ手を何とか逃れるモス。2人が電話で初めて話した時、シガーは「金を持ってくれば、妻の命は助けてやる」と言うが、モスはこれを拒否する。モスは妻とあるモーテルで落ち合う約束をするが、妻が到着する前に、モスは殺される。
そして、殺し屋シガーが妻の前に現われ、「モスとの約束で殺す」むねを伝える。しかし気の変わったシガーは「コイントス」で妻が勝てば、命は助けてやると言う。妻の答えは「賭けない」であった。
感想・見所
これは、ただの殺人映画ではない。とにかく脚本が素晴らしい。「ファーゴ」がコーエン兄弟の最強の脚本だと思っていたが、それにも増してすごい。
とにかくコーエン兄弟の作品は、見終わった後に考えさせられる。それはきっとこの汚い世界で生きている事の証明なんだと思う。クリーンな自分でいるつもりでも、汚れた精神をどこかに持っていて、それは誰にでもあることで、誰にでも起こりうる事だから、考えさせられるんだと思う。強いて、みどころを言うのであれば、ラストシーンだろう。狭い部屋の中で、殺人鬼と妻が話し合うシーン。単純な会話のシーンだが、ここにコーエン兄弟のメッセージのすべてが詰まっていると思う。人間が捨ててはいけない、負けてはいけない大事なものがそこにある。
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