【監督】 黒澤明
【出演】 ユーリー・サローミン
【公開】 1975年 日・露 141分
【受賞】 1975年 アカデミー賞 外国語映画賞、モスクワ国際映画祭 大賞
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
ロシア人探検家が、当時ロシアにとって地図上の空白地帯だったシホテ・アリン地方の地図製作の命を政府から受け、探検隊を率いて現地へと赴く。そこで知り合った先住民族の猟師デルス・ウザーラが、ガイドとして彼らに同行することになる。探検家と猟師の交流を描く。デルス・ウザーラの原始的な生き方は、文明化された現代へのアンチテーゼになっている。実話に基づく。
感想・見所
正直、黒澤作品にはまっていても、この作品だけは敬遠していました。自然が舞台の退屈な映画なのではと思っていたから。でも観てみると素晴らしい作品だった。僕には天空の城ラピュタを連想させた。「人は地を離れては生きていけない」ラピュタのメッセージが思い浮かんだ。大自然の中で生きることと、今の私達のように文明社会で生きること、果たしてどっちがいいのか。科学の進歩や文明の進歩とは、果たして本当に人間の生活を豊かにしているものなのか、考えさせられました。
また主人公のデルス・ウザーラの人柄に惚れた。彼は人を騙したり、他人の命を救ってもその代償を要求することがない。私達は普段色々な欲にまみれて生きている。果たしてそんなものは、人が生きていく上で本当に必要なものなのか。きっと答えは出てこない。でも見終わった後に、きっと以前よりもシンプルな自分になれたように思う。
自然風景が美しく表現されているのも、この映画の魅力です。撮影はかなり大変なものだったらしい。洪水のシーンは実際に起こった場所に行って撮影され、秋のシーンでは人口の葉をモスクワや日本から空輸して、撮影が行われたそうです。究極なのは、本作にはトラが登場しますが、当初サーカスのトラを使おうとしますが、黒澤監督は「目が死んでいる。やっぱり本物のトラでないとダメだよ」と言って、本物のトラが捕獲され、起用されたそうです。
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