【監督】 黒澤明
【出演】 志村喬、小田切みき、金子信雄
【公開】 1952年 日本 143分 白黒作品
【受賞】 ベルリン国際映画祭 ベルリン市政府特別賞
【ジャンル】 人間ドラマ
生かされているのか、生きているのか。
あらすじ
かつての仕事への情熱を失い、人生に絶望した役所勤めの男が主人公。職場である役所では、毎日書類の山を相手に黙々と判子を押すだけの無気力な日々を過ごしていた。ある日、男は自分が胃癌であり、残された命が少ない事を知る。それから男は自分の生き方を見つめ直すも、5ヵ月後あっさりと亡くなってしまう。しかし彼が生きた最後の5ヶ月間に行った事が、思わぬ形周囲の人達に影響していく。彼は5ヶ月間、一体何を行ったのか。。。
感想・見所
人間の「生きる」という普遍的なテーマを描いた作品。主人公は初老のどこにでもいるような男。しかし彼を通して「生きる事」「命」の尊さを、強烈に示している。誰もができる生き方ではないかもしれない。しかしこの作品は、老若男女問わず、それぞれが自分の人生を見つめ直すきっかけになる作品だと思う。
人はその死を悟った時に、初めて「生きる」という事を考えるのかもしれない。いや言い換えると、普段「生きている」という事を、実感する場面はあまりないのかもしれない。ましてや今の平和な日本において、それを感じろというのは無理なのかも。
最近では東北大震災があって、原子力発電所の事故があり、こうした中で「生きる事」と「死」を、本当に考えた人がいたと思う。私達は普段平和の中では「生きている」事を、本当の意味で実感する事はあまりない。
その辺の感情や行動を、この作品は見事に映し出している。今の日本人が見直すべき事が詰まっているように感じる。生きる事、最も大切なものは何か、それが描かれている。
*劇中、主人公が口ずさんでいた歌「ゴンドラの唄」は、その後流行歌となったそうだ。

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