『花の影』

2013/08/30

【監督】　チェン・カイコー
【出演】　レスリー・チャン,コン・リー,リン・チェンホア,デヴィッド・ウー
【公開】　1996年　香港・中　128分
【ジャンル】　恋愛

あらすじ

1911年。辛亥革命で清王朝は崩壊。そんな中にあっても富豪のパン家では一族は阿片におぼれ、麻雀を楽しむ生活を送っていた。そこへ孤児になった忠良がやってきて、当主の娘・如意とその遊び相手の端午と友達になった。しかし彼は一族から性的虐待を受けるなどし、ある日、家を飛びだして北京に向かった。

時が流れ、成長した忠良は上海マフィアに可愛がられ、有閑夫人を騙して脅迫するジゴロとなっていた。一方のパン家では当主が死去、美しく成長した如意が実質上の当主となっていった。そして端午がその補佐役として養子になった。

パン家の財産を狙って忠良は里帰りする。如意はまもなく彼に夢中になり、忠良もやがて彼女を愛していく。一度上海に戻った忠良だったが、彼の迷いはマフィアのボスに見抜かれていた。そして真実の愛は破滅へと突き進んでいく。

レビュー

【ネタバレ含む】時代や周囲の人に翻弄されながらも、真実の愛をストレートに表した、チェン・カイコー監督には珍しい恋愛ドラマ。あらがうことのできない運命、もしくは宿命めいたものに翻弄されてしまう２人の人生を表している。２人はそれぞれが、それぞれの世界でそれなりの立場にあるにも関わらず、真実の愛だけが、成し遂げられない。人生が思い通りには進まない事を、激動の歴史になぞって描いている。

今の日本や先進国って本当平穏なんだなあと、こういう映画を通して過去を観ると思う。歴史によって妨げられてしまった愛がどれほどあるのだろう。特に戦時中の日本とか。特攻に行く彼氏や彼女の思いって、どんなだろうと想像しただけでも辛い。