「レフリーが選手に殴られ亡くなった事件」について思う事

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アメリカユタ州で行われたサッカーの試合で、レフリーが選手に殴られ亡くなった。しかもこの試合というのはレクレーションゲームで、選手というは17歳の少年だ。亡くなったレフリーはおそらくボランティアであろう。(resource:http://news.yahoo.com/police-utah-soccer-referee-punched-player-dies-053841709.html)

試合中、イエローカードの判定に怒った少年がレフリーの顔面を殴ったことで亡くなってしまった。その時は何ともなかったそうだが、その後容態が急変し1週間後に亡くなった。以前にもこの少年から暴力を受けたことがあり、レフリーの家族は辞めるように言っていたそうだ。しかし彼は続けた。なぜならサッカーが好きだから。サッカーが彼のパッションだった。

それでも審判が絶対ルール!

サッカーに限らず、スポーツにおいてレフリーは絶対的な存在だ。彼らがいなければ試合は成立しない。確かにミスジャッジは存在する。ひどいものもある。

サッカー界では伝説として語り継がれているミスジャッジがある。1986年のワールドカップでのマラドーナの「神の手」ゴールである。今更解説する必要のない有名なゴールだが、一見ヘディングしているように見えるマラドーナのゴールは、よーく見ると頭の上にかざした左手に当たって、ゴールしている。相手チームのイングランドの選手にしたら、押さえようにも押さえられない感情があった事だろう。しかしこのケースの場合はその後のマラドーナの伝説のプレー「5人抜き」で、世間的には帳消しにされてしまう。世間の評価はこの「5人抜き」によって、結局はマラドーナ擁するアルゼンチンの方が強かった、で片付けられている。きっとこの時のイングランド国民の感情はそんなものではなかっただろう。この時、もちろんイングランド選手はレフリーに対して抗議をしているが、ベンチ及びイングランドのフロントから抗議はされていなかったとの事。フェアプレー精神、いや紳士の国のメンツでしょうか。素晴らしいなと思った。

今回の少年のように感情を抑えきれない年齢では、どうしようもないケースなのかもしれない。この試合でなくとも、この少年はいずれ何かしら引き起こしていたかもしれない。

破ってはいけないカラと、破るべきカラ

この事件で感じたのは、カラ(ルール)は2つの存在する事。決して破ってはいけない殻(ルール)というのは、この社会がうまく機能していくために、絶対必要なもの。法律や規則、この事件で言えばスポーツのルール。もう一つの殻は、自分で勝手に決めてしまう自分への殻。

自分への殻とは、自分はこのくらいの能力だ、と勝手に自分で決めてしまうルールみたいなものや、自分の人生はこんなもんでしょ、と決めてしまう殻。自分で勝手に決めてしまう限界みたいなもの。こっちの殻は破るべきだ。

カルフォルニアに住んでいて、多くの貧しい移民(特にメキシコ系)を見ていると、この殻に自分を当てはめているなあと感じる。毎朝、決まったロータリーにメキシコ系の人達が集まっていて、その日の仕事を待っている。で、日雇いしたい人がピックアップしに来る。主に仕事は肉体労働。とにかく彼らは一日中そこで仕事を待ち続ける。ピックアップされなければ、もちろん仕事はない。

一方で南米などの経済成長をしている貧しい国では、自ら仕事を探す、作る、実行する姿を見かけることができる。バスや電車に乗れば、何かしらの売り子が一緒に乗車してくる。何でも売ってる。文房具売ってる少年がいたりして、売れんのかなとか思っても、売れてるからビックリする。バスに乗ってて鉛筆買うかよって。

でもそんなもんなんだろう。無理だと思った瞬間に何も始まらず、行動なくして何も得られないのだ。今回の事件で少年は破ってはいけない方のカラを破ってしまった。一方でこのレフリーは破るべきカラにチャレンジしたのではないかなと思った。以前にも暴力を受けていて、危険だという事は承知の上で続けたわけだから、きっと何か自分にはできると信じていた部分があるんだと思う。あったかなかったかはわからない。でも「サッカーを心から愛していた」人であれば、きっとそのサッカーを通じてその少年も改正できるとか、何かしらきっと信じていた部分があったのだろうと思う。結果は本当に悲しい出来事になってしまったけど、彼のしようとしていた事を想像すると、敬意を払いたい気持ちでいっぱいだ。そして自分自身も常に「破るべきカラ」にチャレンジしたいと思った。今の日本で言えば、きっと彼がその象徴だろう。一体何歳までチャレンジするんだろう!

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