【監督】 アッバス・キアロスタミ
【出演】 ホマユン・エルシャディ,アブドルホセイン・バゲリ
【公開】 1997年 イラン 98分
【受賞】 第50回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール
【ジャンル】 人間ドラマ
あらすじ
一人の中年の男バディが車を走らせ、自殺を手伝ってくれる人を探していた。彼は職を探している男を助手席に乗せ、遠くに町を見下ろす小高い丘の木の前まで無理矢理に連れてゆき、仕事を依頼する。仕事とはもちろん自殺について。「明日の朝、この穴の中に横たわっている私を確認してほしい。もし私が返事をすれば起こしてくれ。もし無言ならば土をかけてくれ」と。しかし、依頼する人には皆断られてしまう。ただし、ひとりの老人バゲリだけは、この依頼を受ける。彼には病気の子供のためにお金が必要だった。彼は依頼を受けつつも、自分の経験を話始めた。彼は結婚したばかりの頃、生活が苦しくて自殺を考えた事があったそうだ。ロープを桑の木にかけようとして、ふと実が手に触れ、それをひとつ口に入れてみた。それはとても甘く、彼は自殺を思いとどまったのだと。
レビュー
この作品もまったく派手さはなく、たんたんと自殺についての描写が続く。ただこの映画にはラストにからくりがある。もちろん「自殺」とは人にとって重要な決断だ。もちろん監督も「生きる」事への前向きな姿勢を示そうとした作品だと思う。
【ネタバレ】
なぜラストで撮影風景を映し出したのか。僕が思ったのは、単純に思い悩んでいる世界を一歩外に出てしまえば、世界はこんなに違うんだよという事を言おうとしたのではないかと思う。映画の物語の世界が「死のうとしている世界」で、撮影している風景というのは「自殺しようと思い悩んでいるのとは別の外の世界」。だから物語の中で死のうとしている主人公って馬鹿でしょって言っているような気がした、所詮は作り物だからと言っているようで。
つまり人生なんて与えられた命であって、映画のようにただの一作品でしかない。制作期間があって、見てくれる人がいて、そして時間がたてば忘れ去られていく映画のように。
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